黒谷和讃

帰命頂礼釈黒谷の 円光大師の教えには 人間僅か五十年 
花に譬えば朝顔の 露より脆き身を持ちて 何故に後生を願わぬぞ 
たとえ浮世に長らえて 楽しむ心に暮らすとも 老いも若きも妻も子も
後れ先立つ世の習い 花も紅葉も一盛り 思えばわれらも一盛り
十や十五の蕾花 十九二十の花盛り 所帯盛りの人々も
今宵枕を傾けて すぐに頓死をするもあり 朝なに笑いし幼な児も
暮れには煙となるもあり 憐れ儚きわれらかな 娑婆は日に日に遠ざかり
死するは年々近づきて 今日は他人を葬礼し 明日は我が身も図られず
これを思えば皆人よ 親兄弟も夫婦とも 先立つ人の追善に
念仏唱えて信ずべし あら有難や阿弥陀仏
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏