分類別の盆踊り唄集 その6
●●● 杵築(その7・粟踏み) ●●●
大田村周辺の「粟踏み」の節を集めた。「その6」の変調と思われる。「粟踏み」自体は多くの集落で廃絶したが、これと同種の節が「六調子」として香々地で盛んに唄われている。
7-1-1 盆踊り唄「粟踏み」 山香町今畑・上畑(東山香)、大田村山香道(朝田) <47・47段物>
☆ハ粟踏みゃどこからはやる(セッコラセ)
ハよいかな四国がもとよ(ヤンソレ ヤンソレサ)
☆粟踏みゃだんだんご苦労 どなたもこの先頃で
7-1-2 盆踊り唄「粟踏み」 大田村小野(田原) <47・47段物>
☆粟踏みゃどこからはやる(アヨイヨイ)
そじゃそじゃどこから流行る(ヤーレヤレヤレナ)
☆粟踏みゃ四国が本じゃ みなさん輪を崩さずに
7-1-3 盆踊り唄「粟踏み」 杵築市大片平・二ノ坂(北杵築) <47・47段物>
☆粟踏みゃどこからはやる(セッコラセ)
そうとも四国の阿波じゃ(ヤンソレ ドッコイショ)
☆どなたもその調子にて 音頭を引き出すような
7-2-1 盆踊り唄「六調子」 香々地町塩屋(岬) <47段物>
☆ハ主水さんという侍は(サーノサイ)
ハヨイサノいう侍は(ヨーイ ヨーヤヨイ)
☆賑やか暮らしも繁昌 暮らしも繁昌
☆子供のあるその中で あるその中で
7-2-3 盆踊り唄「六調子」 香々地町佐古(三重) <47・47段物>
☆アラこの先ゃほど長けれど(アラセ コラセ)
アラ太夫さんにからかさ渡す(ヨーイ ヨーヤヨイ)
7-3-1 盆踊り唄「六調子」 香々地町高島(岬) <77・77段物>
☆国は関東下野の国(アラセ コラセ)
那須与一という侍は(ヨーイ ヨイヤヨイ)
●●● 杵築(その8) ●●●
イレコの繰り返しで、上句の節を置かずにいきなり地口から入る。「その6」の香々地の節から上句が欠落したものだろう。竹田津のみに伝わっている。
8-1-1 盆踊り唄「イレコ」 国見町櫛海(竹田津) <イレコ>
「ドッコイサッサでコラサノサ(ハイ) ドッコイサッサでまた入りょか(ハイ)
おっさん待ちないちょいと止めた(ハイ) 私が一丁いれやんしょ(ハイ)
ちょうど去年の盆じゃった(ハイ) 私が踊りに来る道に(ハイ)
豆腐が半丁あえちょって(ハイ) しくしくしくしく泣きよった(ハイ)
ほんとにしくしく泣きよった(ハイ) なんで泣くかち聞いたなら(ハイ)
そんまた豆腐の言うことにゃ(ハイ) お豆にわしゃ戻りたや(ハイ)
入れなれ先太夫様よ(ヤーンソーレ ヤンソレサ)
●●● 杵築(その9) ●●●
1句ごとに同じ囃子が入るもののうち、主に耶馬溪方面で唄われる節を集めた。同じ節ばかりを繰り返す場合もあれば、「その1」から「その7」の上句にあたる節と下句にあたる節をだいたい交互になるように唄う場合もある。
9-1-1 盆踊り唄「六調子」 日田市財津町(三花) <77段物>
☆国は柳川 吉野の町よ(ハヨーヤセ ヨヤセ)
☆お吉殿にて米屋がござる
9-1-2 盆踊り唄「六調子」 耶馬溪町下郷(下郷)、山国町奥谷(三郷) <77段物>
☆国は筑前田川の郡(ヨーヤーセ ヨヤーセ)
☆田川郡は添田の町よ
9-1-3 盆踊り唄「六調子」 耶馬溪町柿坂(城井) <77段物>
☆みんなどなたも踊りておくれ(アーヨーヤーセ ヨヤーセ)
☆合えば義経千本桜(アーヨーヤーセ ヨヤーセ)
☆合わにゃ高野の石堂丸よ(アーヨーヤーセ ヨヤーセ)
☆みんなどなたも踊りておくれ(アー今年最後の踊りじゃ)
☆こよやよい晩嵐も吹かで(アーみんなどなたもよう来たね)
9-1-4 盆踊り唄「六調子」 耶馬溪町深耶馬(柿山) <77段物>
☆となり近所のあの子のように(アーヨーヤーセ ヨイヤーセ)
☆髪を結うたり抱かれて寝たり(アーヨーヤーセ ヨイヤーセ)
9-2-1 盆踊り唄「六調子」 本耶馬溪町東谷(東谷) <77段物>
☆みんなお好きな 六やりましょな(ハヨーヤーサ ヨヤーサ)
☆六でなけらにゃ 子供衆ゃひやけ
9-2-2 盆踊り唄「六調子」 三光村臼木(真坂) <77段物>
☆哀れなるかや石堂丸は(ヨーヤナ ヨヤナ)
☆父をたずねて高野へあがる(ヨーヤナ ヨヤナ)
9-2-3 盆踊り唄「ヤンソレサ」 中津市伊藤田(三保)、三光村成恒(山口) <77段物>
☆先の音頭さんな 京都な江戸な(ヤーンソーレヤンソレサ)
☆大阪下りは 新太夫さんか
9-3-1 盆踊り唄「六調子」 院内町斎藤(院内) <77・75一口>
☆親の意見となすびの花は(ヨーイヤッサ ヨイヤッサ)
☆千に一つのソリャ徒がない(ヨーイヤッサ ヨイヤッサ)
9-3-2 盆踊り唄「六調子」 湯布院町塚原(北由布) <77・75一口>
☆関の五本松 一本切りゃ四本(エーイサッサーエイサッサ)
あとは切られぬ ホント五本松(エーイサッサーエイサッサ)
☆関の女は 医者より偉い 縞の財布の 脈をとる
9-3-3 盆踊り唄「六調子」 湯布院町並柳(北由布) <77・77段物>
☆やれなやれやれ 六やりましょな(ヨーヤッサーヨイヤッサ)
☆六でなけらにゃ 子供衆ゃひやけ
●●● 杵築(その10) ●●●
1句ごとに同じ囃子が入るもののうち、主に玖珠方面で唄われる節を集めた。同じ節ばかりを繰り返す場合もあれば、「その1」から「その7」の上句にあたる節と下句にあたる節をだいたい交互になるように唄う場合もある。
10-1-1 盆踊り唄「六調子」 九重町野上(野上) <77段物>
☆国は関東下野の国(アーヤートコサイサイ ヤートコサイ)
☆那須与一という侍は(アーいう侍は)
10-1-2 盆踊り唄「六調子」 九重町飯田(飯田) <77段物>
☆花のお江戸のそのかたわらで(ヤートコサイサイ ヤートコサイ)
☆聞くも珍し心中噺
10-1-3 盆踊り唄「セレショ」 九重町町田(南山田) <77段物>
☆国はいずこと尋ねてきけば(セレショーセレショー ヤンセレショ)
☆武家の家老に一人のせがれ
10-1-4 盆踊り唄「六調子」 玖珠町長野(玖珠) <77段物>
☆国は西国 豊後の国で(アーヤートコサイサイ ヤートコサイ)
☆音に聞こえし三日月の滝
10-1-5 盆踊り唄「六調子」 玖珠町中塚(八幡) <77段物>
☆娘おつると書いたる文字が(ハーヨーヤーサ ドッコイサ)
☆墨が滲みて姿が薄い(ハー姿が薄い)
10-1-6 盆踊り唄「六調子」 玖珠町太田(八幡) <77段物>
☆娘おつると書いたる文字が(アーヤートコサイサイ ヤートコサイ)
☆墨が滲みて姿が薄い
10-1-7 盆踊り唄「団七踊り」 玖珠町戸畑(北山田) <77段物>
☆姉が宮城野 十三歳で(アーヤンソレサッサノ ヤンソレサ)
☆妹信夫がまだ九つよ
☆頃は六月 土用の半ば
☆娘引き連れ田の草取りに
10-1-8 盆踊り唄「団七踊り」 天瀬町高塚(馬原) <77段物>
☆姉の宮城野 妹の信夫(アー妹の信夫)
☆中を行くのが志賀団七よ(アーソレサーソレサー ヤンソレサ)
10-1-9 盆踊り唄「団七踊り」 天瀬町女子畑(中川) <77段物>
☆姉が宮城野 十三歳で(ソレサーソレサー ヤンソレサ)
☆妹信夫がまだ九つよ
10-1-10 盆踊り唄「団七踊り」 大山町小切畑(西大山) <77段物>
☆国は奥州 白石城下(セレサーセレサー ヤンセレサ)
☆音に名高き仙台の城
10-1-11 盆踊り唄「団七踊り」 日田市財津町(三花) <77段物>
☆やろなやりましょな踊りをやろな(ヤンソレサッサノ ヤンソレサ)
☆今も流行の団七踊り
10-1-12 盆踊り唄「六調子」 日田市羽田(東有田)、前津江村大野 <77段物>
☆ここに憐れな巡礼口説(ヤンソレサッサノ ヤンソレサ)
☆国はどこよと尋ねてきけば
●●● 杵築(その11) ●●●
その「10」の頭3字を詰めたもので、ちょうど「その1」と「その3」の関係と同じである。
11-1-1 盆踊り唄「四つ拍子」 天瀬町中釣(五馬) <77段物>
☆国は天竺 魔法の国よ(ヤーレショ セレショ)
☆国の始まりゃ十三代目
●●● 杵築(その12) ●●●
これは「その1」とほぼ同種なのだが、下句の囃子末尾を余分に引き伸ばして唄う。耶馬溪方面の伝承。
12-1-1 盆踊り唄「二つ拍子」 耶馬溪町深耶馬(柿山) <77・77段物>
☆ハー 二つ拍子は二人でなけりゃ(アラサイコラサイ)
一人音頭じゃ踊られませぬ(アヨーイ ヨイトナー)
12-1-2 盆踊り唄「二つ拍子」 本耶馬溪町西谷(西谷) <77・77段物>
☆二つ拍子は二人でなけりゃ(アラサイコラサイ)
一人音頭じゃ踊られませぬ(アヨーイヨイトナー)
☆わしが出します薮から笹を つけておくれよこの短冊を
12-1-3 盆踊り唄「二つ拍子」 本耶馬溪町落合(上津) <77・77段物>
☆ハー さあさ皆さんお参りなして(アラサイコラサイ)
盆の踊りを踊りて唄い(ヨーイヨイトナ)
☆老いも若きもみな集まりて ともに一夜をお精霊さまの
12-1-4 盆踊り唄「ヨーヤナ」 三光村下深水(深秣) <77・77段物>
☆ここに哀れな巡礼口説(アラサイコラサイ)
所どこよと尋ねてきけば(ヨーイ ヨーイヤナー)
☆阿波の鳴門の徳島町よ 主人忠義な侍なるが
12-1-5 盆踊り唄「二つ拍子」 宇佐市麻生(麻生) <77・75一口>
☆わしは唄好き念仏嫌い(アラショイ コラショイ)
死出の山路も ヤレ唄で越す(ヨーイヨーヤナー)
☆死出の山路も三途の川も 唄で越ゆれば 苦にゃならぬ
●●● 杵築(その13) ●●●
「その1」と「三勝」を掛け合わせたような節で、大野地方から直入地方にかけて広く伝わっている。志賀から放射状に広まったものかと思われる。
13-1-1 盆踊り唄「杵築踊り」 大野町夏足(大野)、朝地町上尾塚(上井田) <77・77段物>
☆何を言うても国からが先(サノヨイ サノヨイ)
国は近江じゃ石山源氏(アーヨーイサッサー ヨイサッサー)
☆源氏娘はおつやとござる おつやもともと信心者よ
13-1-2 盆踊り唄「杵築踊り」 朝地町志賀(上井田) <77・77段物>
☆杵築・山香の踊りを見たら(サノヨイ サノヨイ)
おうこかたげて鎌腰差して(アーヨーイサッサノ ヨイサッサー)
☆歩くかたでに焼餅かじる それはうわごと 理を語ります
13-1-3 盆踊り唄「杵築踊り」 三重町大白谷(白山) <77・77段物>
☆題は義経千本桜(サーヨイ サノヨイ)
五題続きの第三段よ(サーヨーイサッサー ヨイサッサ)
☆角にゃ寿司屋と名は弥三衛門 これの娘におりつというて
13-1-4 盆踊り唄「杵築踊り」 緒方町原尻(南緒方) <77・75切口説>
☆様よ出てみな奥嶽山にゃ(アレワイセー コレワイセー)
みかん売り子が ヤレ火をとぼす(アーヨーイサッサー ヨイサッサ)
13-1-5 盆踊り唄「竹刀踊り」 野津原町荷尾杵(今市) <77・77段物>
☆盆の十六日おばんかて行たら(サノヨイ サノヨイ)
叩き牛蒡に昆布の煮しめ(サノヨーヤーセー ヨーヤーセ)
13-1-6 盆踊り唄「銭太鼓九つ」 竹田市次倉(宮砥) <77・75一口>
☆盆の踊りは伊達ではならぬ(サマヨイ サマヨイ)
先祖代々 サマ 供養のため(アーヨーイサッサー ヨイサッサー)
☆姉と妹に丸髷結わせ どちら姉やら 妹やら
13-1-7 盆踊り唄「杵築踊り」 竹田市倉木(嫗岳) <77・75切口説>
☆杵築踊りはいと易けれど(サノヨイ サノヨイ)
知らぬお方にゃ難しゅござる(サーヨーイサッサー ヨイサッサー)
☆みんな踊ろや若いときゃ一度 二度と枯木にソリャ花咲かぬ
☆こよさ行きますお寝間はどこな 東枕のソリャ窓の下
13-1-8 盆踊り唄「団七踊り」 竹田市古園(宮城) <77・77段物>
☆哀れなるかや志賀団七は(サノドン サノドン)
後ろ前からそりゃ切りかかる(アラヨーイサッサー ヨイサッサ)
☆姉の宮城野 妹の信夫 中を行くのは志賀団七か
13-1-9 盆踊り唄「杵築踊り」 竹田市古園(宮城) <77・77段物>
☆杵築踊りはいとやすけれど(サノドン サノドン)
知らぬお方にゃ難しゅござる(アラヨイサノサー ヨイサッサ)
13-1-10 盆踊り唄「杵築踊り」 荻町柏原(柏原) <77・75切口説>
☆みんな踊ろうや若いときゃ一度(サマヨイ サマヨイ)
二度と枯れ木に ソリャ花咲かぬ(サマヨーイサッサー ヨイサッサ)
☆枯れ木 花咲き実のなるまでは 心かわすな かわすまい
13-1-11 盆踊り唄「杵築踊り」 荻町宮平(柏原) <77・77段物>
☆杵築踊りはしなよいけれど(サマヨイ サマヨイ)
知らぬお方にゃ難しうござる(サマヨーイサッサー ヨイサッサ)
☆杵築山田の踊りを見たら おうこかたげて鎌腰差して
☆踊る片手じゃ焼き餅かじる それはうわごと理を語ります
●●● 杵築(その14・豊前) ●●●
2句の節のうち頭3字を伏せないものから中囃子を欠いたもののうち、耶馬溪方面のものを集めた。一般に早間の傾向にある。
14-1-1 盆踊り唄「二つ拍子」 日田市財津町(三花) <77・77段物>
☆みんな何方も願いがござる
ここの亭主がお茶出すそうな(ヤンソレナー ヤンソレナ)
☆お茶を飲まれよ煙草も吸われ あとは宜しくお願いします
14-2-1 盆踊り唄「三つ拍子」 日田市羽田(東有田) <77・77段物>
☆花のお江戸のそのかたわらで(コラショイ)
聞くも珍し心中話(オイソレナー ソレナー)
☆ところ四谷の新宿町よ 紺の桔梗に桔梗の紋は
14-2-2 盆踊り唄「三つ拍子」 山国町守実(三郷) <77・75段物>
☆あんりゃあんりゃ言うて後にゃ引きなされ コラサー
後にゃ引いたならお手打ちなされ(アーヨイソレナ コラヨーイヨイ)
☆しばし間は端唄で流す コラサー
しばし間は端唄で流そ(アーヤンソレナ コラヨーイヨイ)
☆待つがよいかよ別れがよいか コラサー
嫌な別れよ チョト 待つがよい(アーヤンソレナ コラヨーイヨイ)
14-2-3 盆踊り唄「三つ拍子」 山国町大石峠(三郷) <77・75一口>
☆やろなやりましょな三つ拍子ゅやろな コラサ
どうせやるなら三つじゃなけりゃ(ヨイソレナーコラ ヨイソレナ)
14-2-4 盆踊り唄「三つ拍子」 玖珠町杉山下り(古後) <77・77段物>
☆髪を結うたり抱かれて寝たり コラサー
それが私は羨ましいよ(ヨイソレナー ヨーイヨイ)
14-2-5 盆踊り唄「三つ拍子」 耶馬溪町樋山路(下郷) <77・75一口>
☆花が散りても繋がにゃならぬ コラサーンアー
中津お城の ナント御用の駒(アーヤンソレナ コラヨーイヨイ)
14-2-6 盆踊り唄「三つ拍子」 耶馬溪町金吉(下郷) <77・75一口>
☆裏の窓からカニの足投げた コラサ
今宵這おとの ホント知らせかな(ヨイソレナー ヨイソレナ)
14-2-7 盆踊り唄「三つ拍子」 耶馬溪町山移(山移) <77・77段物>
☆やろなやりましょな三つ拍子やろな コラサ
どうせ踊りは三つ拍子限る(アーヤンソレナー ヨーイヨイ)
☆花のお江戸のそのかたわらに さても珍し人情口説
14-2-8 盆踊り唄「三つ拍子」 耶馬溪町柿坂(城井) <77・75一口>
☆アー河童祭りの音頭のよさよ コラマー
山の河童も ナント勢ぞろい(アヤンソレナー ヨーイヨイ)
☆秋の化粧したうつくし谷は 紅葉色づく 夢のさと
●●● 杵築(その15・豊前) ●●●
「その14」のテンポをのろまにしたもので、由布院から山香にかけて広く唄われている。安心院周辺では節がやや平板化している。
15-1-1 盆踊り唄「三つ拍子」 安心院町板場(津房) <77・77段物>
☆東西南北 静まりたまえ(アーショイショイ)
こいさ大事なお供養の踊り(アーヨーヤナ ヨヤナー)
☆西も東も南も北も どっと一度にゃお手振りしゃんと
15-1-2 盆踊り唄「三つ拍子」 安心院町尾立(津房) <77・77段物>
☆東西南北 静まりたまえ
こいさ大事なお供養の踊り(ヨーイヤナ ヨイヤーナ)
15-1-3 盆踊り唄「三つ拍子」 安心院町楢本(津房) <77・77段物>
☆鈴木主水という侍は 女房持ちにて二人の子供
(アーヨーイヤサッサノ ヤレマカショイ)
☆二人子供のあるその中で 日にち毎日女郎買いばかり
15-1-4 盆踊り唄「三つ拍子」 別府市天間(南端) <77・77段物>
☆さんさ東西おんそれながら しばし間は口説いてみましょ
(アーヨーヤサー ヨーヤヨイ)
☆その名とき出す下野の国 那須与一という侍は
15-1-5 盆踊り唄「三つ拍子」 山香町日指(上) <77・77段物>
☆よんべ山香の踊りを見たら(ハイハイ) おうこかたげて鎌腰差いて
(アラヨーイサッサノ ドッコイショ)
15-2-1 盆踊り唄「三つ拍子」 湯布院町塚原(北由布) <77・77段物>
☆さんさ東西静まりたまえ
やんれそうじゃな三つといこか(アラヨーイヤーノ ヨイヤーヨイ)
☆先の太夫さん長々ご苦労 ご苦労様ならお茶なと召され
15-2-2 盆踊り唄「三つ拍子」 湯布院町並柳(北由布) <77・77段物>
☆さんさ東西静まりたまえ
しばし間は三つがよかろ(アラヨーヤッサー ヨイヤーヨイ)
☆国の始まりゃ大和の国よ 大和国では山崎三太
15-3-1 盆踊り唄「豊前踊り」 山香町野原(山香) <77段物>
☆豊前踊りはしなよい踊り(ハイハイ)
イヤサソウカナ しなよい踊り(ヨーイヤサッサノ ドッコイショ)
☆よんべ山香の踊りを見たら 踊りを見たら
15-3-2 盆踊り唄「豊前踊り」 山香町下(立石) <77段物>
☆豊前踊りはしなよい踊り ヤレサソウジャナ しなよい踊り
(アラエンヤラサッサノ ドッコイショ)
15-3-3 盆踊り唄「豊前踊り」 日出町赤松(藤原) <77段物>
☆豊前踊りはしなよい踊り イヤサソウカナ しなよい踊り
(アラヨーイサッサノ ドッコイショ)
☆よんべ山香の踊りを見たら 踊りを見たら
15-3-4 盆踊り唄「豊前踊り」 杵築市大片平・二ノ坂(北杵築) <77・77段物>
☆豊前踊りはしなよい踊り わしが音頭で行こかは知らぬ
(アラヨーイサッサノ ヨイサッサ)
●●● 杵築(その16・豊前) ●●●
「その15」を3拍子にしたもので、かつて国東半島中央部から東国東方面で流行したが下火になっている。
16-1-1 盆踊り唄「豊前踊り」 大田村小野(田原) <77・77段物>
☆いやれどなたかご注文なないか 覚悟よければこの先頃で
(アラヤンソレ サッサノ ヨイノヨイ)
☆ちょいと立て板水流すぞえ いやれそじゃそじゃまだ夜は深い
(ヨーイヨーイ デッカンショ)
16-1-2 盆踊り唄「豊前踊り」 安岐町唐見(西安岐) <77・77段物>
☆花のお江戸のそのかたわらに さても珍し心中ばなし
(アラヨーイヨーイ デカンショ)
☆ところ四谷の新宿町の 春は花咲く青山辺の
●●● 杵築(その17・豊前) ●●●
「その15」が早間になり、さらに下句の頭3字を詰めている。石城川方面の流行で、半ば陰線化した節も見られるが別グループにするほどの差異ではない。
17-1-1 盆踊り唄「六拍子」 別府市向浜(浜脇) <77・75一口>
☆娘十八ゃ番茶の出花(ヨイヨイ)
早く乗らなきゃ ヤレ人が乗る(ヨヤサノセー ヨヤサノセ)
☆ゆんべ山香の踊りを見たら おうこかついで鎌腰さげて
17-2-1 盆踊り唄「切り返し」 挾間町内成(石城川) <77・77段物>
☆阿波の鳴門の徳島町よ(ヤレショ)
主人忠義な侍なるが(アラヨイヤサノセー ヨーヤーセー)
☆何の不運か無実の詮議 家の宝の刀の詮議
17-2-2 盆踊り唄「切り越え」 挾間町朴木(由布川) <77・77段物>
☆国は長州 赤間の関に(ヤレショ)
関に千軒並びはないが(アーヨヤサノセー ヨーヤーセー)
●●● 杵築(その18・唐芋節) ●●●
ずいぶん毛色が違っているが、これは1節1句の節の変調と考えられる。本場の宇佐では下火になったが、国東半島北浦辺では今なお盛んに踊られている。
18-1-1 盆踊り唄「唐芋踊り」 宇佐市法鏡寺(駅館) <77段物>
☆今年ゃ浦辺の唐芋(ヨーイヨイトナ) 唐芋をやろか(サノサ)
☆よんべ浦辺の踊りを 踊りを見たら
18-1-2 盆踊り唄「唐芋踊り」 宇佐市山本(豊川) <77段物>
☆今年ゃ浦辺の唐芋(ヨーイヨヤナ) 唐芋をやろか(サノサ)
☆唐芋食わなきゃ踊りが 踊りがでけぬ
☆しばし間はまぎれて まぎれてみましょ
☆わしの音頭で合うかは 合うかはしらぬ
18-1-3 盆踊り唄「唐芋踊り」 宇佐地方 <77段物> ※『俚謡集』より
☆これから暫く唐芋やろよ(サノサ)
☆浦辺の唐芋(サノサ) 唐芋踊ろうえ(サノサ)
☆浦辺の唐芋(サノサ) 唐芋踊りゃ(サノサ)
☆踊る片手に稗餅(サノサ) 稗餅こぶる(サノサ)
18-1-4 盆踊り唄「唐芋踊り」 山香町向野(向野) <77段物>
☆よいな浦辺の唐芋(ヨーイヨヤヨイ) ハ唐芋やろな(サノサイ)
☆唐芋踊りは気の浮く 気の浮く踊り
18-2-1 盆踊り唄「臼すれ」 豊後高田市新城(東都甲) <47段物>
☆ヤーレ臼すれ臼すれ(ヨーイヨヤナ) 臼すりましょか(サノサイ)
☆すれすれ揃いの 揃いの法被
18-2-2 盆踊り唄「六調子」 豊後高田市草地(草地) <77段物>
☆年は十七角前(ヨンヤサヨヤサ) 角前髪で(ショイショイ)
☆角の前髪中すき 中すき分けて
18-2-3 盆踊り唄「六調子」 真玉町上城ノ前(上真玉)、大村(西真玉) <77段物>
☆アリャ切れてはこの場が(ヨーヤサヨヤサ) この場が困る(ショイショイ)
☆イヤサそうとも今ん先ゅ 今ん先ゅやろえ
☆十九や二十の身じゃある 身じゃあるまいし
18-2-4 盆踊り唄「六調子」 真玉町黒土(上真玉) <77段物>
☆人に意見も言う年(ヨーヤサヨヤサ) 言う年頃に(ショイショイ)
☆金のなる木も持ちゃしゃん 持ちゃしゃんすまい
18-2-5 盆踊り唄「六調子」 西国東郡 ※『俚謡集』より
☆ヨー 輪にゃなれ片輪にゃ(ヨーヤナ ヨヤナー)
片輪にゃなるな アーショイショイ
18-2-6 盆踊り唄「六調子」 国見町赤根(上伊美) <77段物>
☆今度踊りは六調子(ヨーイヨヤヨイ) 六調子やろな(サーノサイ)
☆六で舞うなら速いが 速いがよかろ
☆あまり速けりゃお尻が お尻が回る
18-3-1 盆踊り唄「六調子」 香々地町小池(堅来) <77段物>
☆四方四面に蔵建て(ヨーイヨイヤーヨイ)
ドッコイショー蔵建て並べ(ショイショイ)
☆池に鯉鮒 築山ついて