分類別の盆踊り唄集 その2
●●● 祭文(その7・レソ) ●●●
宇佐周辺の節のうち、下句の頭3字を上句につけて唄う節を集めた。
7-1-1 盆踊り唄「レソ」 山香町向野(向野) <77・75一口>
☆恋し恋しと鳴く蝉よりもコラサノサ 鳴かぬ(ドシタドシタ)
蛍が身を焦がす(ソレイヤ ソーレイヤットヤンソレサ)
7-1-2 盆踊り唄「レソ」 宇佐市北馬城(北馬城) <77段物>
☆テテンテンこりゃどうじゃいなコリャサノサ ここで(アードスコイドスコイ)
ぼつぼつレソなどやろな(ソレエンヤ ソレエンヤ トヤンソレサ)
☆さあさ踊ろか輪になって踊ろ 老いも 若きもこの輪の中で
7-1-3 盆踊り唄「レソ」 宇佐市南宇佐(宇佐) <77段物>
☆紺の暖簾に桔梗の御紋コラサットコサ 紺の(アードスコイドスコイ)
暖簾に桔梗の御紋(ソレーヤ ソレーヤ トヤンソレサ)
7-2-1 盆踊り唄「レソ」 宇佐市法鏡寺(駅館) <77・75一口>
☆レソー踊るなら品よく踊れコラサノサ 品の(ヨイショヨイショ)
良いのぬ 嫁にとる(ソレイヤ ソレイヤ トヤンソレサ)
☆どうでレソやんな品よい踊り 揃うた 踊りのほどのよさ
7-3-1 盆踊り唄「レソ」 別府市天間(南端) <77・75一口>
☆レソはよいかよ レソどもやろかコラサノサ レソはナーヨイショ
踊りよじゃ品がよい(ソレー ヤレソー ヤットヤンソレサイ)
☆宇佐の百段 百とはいえど 百はござらぬ九十九段
7-3-2 盆踊り唄「レソ」 山香町下日指(上) <77・77段物>
☆音に聞こえし橋本屋とてコラサノサ 数多ヨ
女郎のあるその中で(ソレーヤ レソーヤートヤンソレサ)
★御職女郎の白糸こそはコラサノサ 年はヨ
十九で当世育ち(ソレーヤ レソーヤートヤンソレサ)
7-4-1 盆踊り唄「レソ」 安心院町大仏(龍王) <77・75一口>
☆レソー踊るなら 三十まで踊れコリャサノサ 三十ヨ(アヨイヨイ)
過ぐればヨ 子が踊るヨ (ハレソーヤ レソーヤ ヤトヤンソレサ)
☆宇佐に参らず宇佐餅ゃ搗かず 何を 力に髪とこか
7-4-2 盆踊り唄「レソ」 安心院町中山(龍王) <47・75一口>
☆コリャサ 意見となすびの花は ハヨーイヨイ 千にヨ(ヨーイヨイ)
一つのサ 徒もないヨ(ハレソーヤ レソーヤ トヤンソレサ)
7 盆踊り唄「レソ」 宇佐郡 <77・75一口> ※『俚謡集』より
☆レソを踊るならしなよく踊れ サヨイヨイ レソは(ドスコイドスコイ)
踊りよい しながよい(レソーヤ レソーヤ ヤトヤンソレサ)
☆中津小犬丸米屋の奥へ 広津 小川に身をはむる
☆私とお前は道端小梅 ならぬ 先から人が知る
●●● 祭文(その8・レソ) ●●●
「その7」のうち、上句を早間に唄うもののみ別グループ扱いとする。
8-1-1 盆踊り唄「レソ」 本耶馬溪町屋形(東城井)、東谷(東谷) <77・75一口>
☆レソー踊るなら品よく しゃんとコリャサノサ レソはヨー
(アドッコイドッコイ) ア踊りようじゃ品がよい
(ト レソーヤ レソーヤートヤンソレサ)
☆ソリャー来たのは姉ちゃん 誰か 弟 馬鹿言うな猫じゃもの
●●● 祭文(その9・レソ) ●●●
国東半島内陸部および津房方面の節を集めた。上句の音引きに囃子がつかず、かつ下句の頭3字を上句につける。
9-1-1 盆踊り唄「レソ」 安心院町下市(安心院) <77・75一口>
☆佐田の京石昔の名残 都ヨー
偲んだ祭り跡(アレソーヤ レソーヤ トヤンソレサ)
☆お前百までわしゃ九十九まで ともに 白髪の生ゆるまで
9-1-2 盆踊り唄「レソ」 安心院町尾立・楢本(津房) <77・77段物>
☆哀れなるかや石堂丸は 父をヨ(ヨイヨイ)
訪ねて高野へ上がる(ソレーヤ レソーヤ トヤンソレサ)
9-2-1 盆踊り唄「レソ」 豊後高田市田染(田染) <77・77段物>
☆国は関東名は下野よ 那須のナー(ヨイショヨイショ)
与一が誉れの的射(ソレソレソレー ヤットヤーソレサイ)
☆時の帝が安徳天皇 四国讃岐の屋島が浦にゃ
☆源氏平家の戦がござる 平家方なる沖なる船にゃ
「待たんせ待たんせ音頭さん 私がここらでちょいと止めた
止めたらイレコと悟らんせ 私ゃ入れ好き入れやんす
何が出るかはそりゃ知らぬ 出たときゃわかる若い衆
じいさんばあさんごめんなれ 若い衆も女中さんもなおごめん
ごめんごめんなおごめん 富士山お山の北べらの
山芋なんぞとかけたのは こりゃまた御連中なんと解く
年寄りの×××とわしが解く よう解きやんしたお心は
掘り手がないではないかいな 今度の音頭さん助平なら
やるから取りなよまた入るる
☆今のイレコさんなよくできました 今のイレコさんで息勢をついだ
●●● 祭文(その10・レソ) ●●●
国東半島内陸部の節を集めた。上句の音引きに囃子がつかず、かつ下句の頭3字を上句につけない。
10-1-1 盆踊り唄「祭文」 大田村石丸(田原) <77段物>
☆ここに哀れな巡礼口説(ドシタドシタ)
ヤッテンサンデ 巡礼口説(ソーレ ヤットヤードッコイショ)
10-1-2 盆踊り唄「祭文」 大田村小野(田原) <77・47段物>
☆花のお江戸のそのかたわらに(アーオイッサオイッサ)
めずらし心中話(ソーレイヤ ソーレイヤットヤードッコイショ)
☆ところ四谷の新宿町の 暖簾に桔梗の紋は
10-2-1 盆踊り唄「祭文」 安岐町両子(西武蔵) <77・75一口>
☆かえたかえたぞ祭文にゃかえた(アヨイサヨイサ)
しばし間は祭文でやろな(ヨーイソレー ヤートヤーソレサイ)
「待った待った待った音頭さん じいさんばあさんちょいとごめん
ここらで止めるは無理じゃけど 十七八の小娘が
片手に花持ち線香持ち おんおんわんわん泣いていた
どうして泣くのと訊いたれば うちの裏の竹山に
紫竹破竹は生ゆれども 私のおそそにゃ毛が生えん
それが悲しゅて泣いていた
☆今のイレコはよくできました(アヨイサヨイサ)
やれさそうともよくてきました(ヨーイソラー ヤートヤーソレサイ)
●●● 祭文(その11・レソ) ●●●
山香(東山香から立石)および国東半島北浦辺の節を集めた。下句の頭4字分を伏せる節が主流だが、そうでない節もある。両者の境界は入り乱れており、しかも両者を自由に取り混ぜて唄う例も見られるため、細分化は控えた。
11-1-1 盆踊り唄「祭文」 山香町高取(東山香) <77段物>
☆伊予の松山 百万長者コラサノサ(ハドシタドシタ)
ドッコイサデ 百万長者(ソレソレー ソレヤヤットヤーソレサ)
☆長者屋敷に兄弟ござる 兄弟ござる
11-1-2 盆踊り唄「レソ」 山香町下(立石) <77段物>
☆伊予の松山 百万長者コラサノサ(ヨイサヨイサ)
ソジャソジャ 百万長者(ソレソレー ソレヤヤットヤーソレサ)
☆踊る片手じゃ稗餅ゅこぶる 稗餅ゅこぶる
11-1-3 盆踊り唄「レソ」 山香町竜ヶ尾(立石) <77段物>
☆おうこかたげて 鎌腰さしてコラサノサ(ヨイサヨイサ)
ヨイカナ 鎌腰さして(ソラエヤ ソラエヤットヤーソレサイ)
☆踊る片手じゃ稗餅ゅこぶる 稗餅ゅこぶる
11-2-1 盆踊り唄「レソ」 豊後高田市草地(草地) <77・77段物>
○じわりじわりと 文句と行こかコラサノサ(アーヨイショヨイショ)
ソレソレ 文句と行こか(ソラエヤ ソラエヤットヤーソレサ)
☆国は豊後の 高田の御城下コラサノサ(アーヨイショヨイショ)
御城下本町 繁盛なところ(ソラエヤ ソラエヤットヤーソレサ)
☆角の伊勢屋と いう商人は 肝は太うて 大事を好む
11-2-2 盆踊り唄「レソ」 豊後高田市小田原(河内) <77・77段物>
☆一つ手を振りゃ千部の供養 コラサノサ(アーヤンシキドッコイ)
二つ手を振りゃ万部の供養(ソラエヤ ソラエヤットヤーソレサイ)
11-2-3 盆踊り唄「レソ」 豊後高田市今下駄(田染) <77段物>
☆それじゃ皆さん レソやんでやろかコラサノサ(ヨイショヨイショ)
ソレソレ レソやんでやろか(ソレソレソレー ヤットヤーソレサイ)
11-2-4 盆踊り唄「レソ」 真玉町大村(西真玉) <77段物>
☆いやさここらで ご注文がきたよコラサノサ(アヨイッショヨイショ)
ソレソレ ご注文がきたよ(ソーラヨイヤ ソーラヨイヤットヤーソレサ)
☆あまりレソやんが 続いたほどに ここらでヤンソレサをやれと
11-2-5 盆踊り唄「レソ」 真玉町上城ノ前(上真玉) <77・77段物>
☆合わぬところを コラ 合わせて頼むコラサノサ(アヨイショヨイショ)
夏の着物で一重の願い(ソーレイヤ ソーレイヤットヤーソレサイ)
☆冬の着物で 二重の願い あーらそうとも二重の願い
11-2-6 盆踊り唄「レソ」 真玉町黒土(上真玉) <77段物>
☆わしが口説は ぬろうて速うてコラサノサ(ヨイショヨイショ)
ソウカナ ぬろうて速うて(ソレガヨイヤ ソレガヨイヤットヤーソレサイ)
★あえば義経 千本桜コラサノサ(ヨイショヨイショ)
あわにゃ高野の 石堂丸よ(ソレガヨイヤ ソレガヨイヤットヤーソレサイ)
11-2-7 盆踊り唄「レソ」 香々地町塩屋(岬) <77・77段物>
☆やれさ音頭さんぬ 褒めたちゅなればコラサノサ(アドスコイドスコイ)
声がようて 二で節がようて(ソレーヤ ソレーヤットヤーソレサ)
☆三でさらさら 四でしながようて ご評判は 山より高い
★そんなご評判な 太夫さんのあとでコラサノサ(アドスコイドスコイ)
口説などとは おおそれながら(ソレーヤ ソレーヤットヤーソレサ)
11-2-8 盆踊り唄「レソ」 香々地町小池(三浦) <77段物>
☆人は一代 名は末代よコラサノサ(アヨイショヨイショ)
ソレソレ 名は末代よ(ソーラエヤ ソーラエヤットヤンソレサイ)
11-2-9 盆踊り唄「レソ」 香々地町佐古(三重) <77・77段物>
☆主人忠義の 侍なるがコラサノサ(アドッコイドッコイ)
何の不運か 無実の難儀(ソーレガエーヤ ソーレガエーヤ アトヤンソレサ)
11-2-10 盆踊り唄「レソ」 香々地町高島(岬) <77・77段物>
☆髪を結うたり お化粧をしたりコラショイノショイ(アドッコイドッコイ)
それが私は うらやましいの(ソレガヨイヤ ソレガヨイヤットヤーソレサ)
11-2-11 盆踊り唄「レソ踊り」(西国東郡) ※『俚謡集』より
☆イヤサ皆さん踊ろじゃないか コラサノサ(アーヨイトコドッコイ)
アーそうじゃな踊ろじゃないか ソーレーソレー ヤートヤンソレサ
11-2-12 盆踊り唄「ソレ踊り」 西国東郡 ※『俚謡集』より
☆これから 暫くソレーを踊ろ ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤー ヤトヤー
☆ソレをノー 踊るならしなよく踊れ しなのよいのを嫁にとろよ
ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤー ヤトヤー
「ちょいと私が一番入れましょか(入れましょか) 私の隣のその隣(その隣)
一軒隣のその側に(その側に) やんそれ坊主があったげな(あったげな)
やんそれ坊主は荒坊主(荒坊主) 米のまんまを七しょうけ(七しょうけ)
粟のまんまを七しょうけ(七しょうけ) 小麦の餅を七しょうけ(七しょうけ)
残さず余さずやりつけた(やりつけた) それでも足らぬと言いまして(言いまして)
八反畑の大根を(大根を) 根ながら葉ばがら食ってしもた(食ってしもた)
塩気が欲しいというときは(いうときは) 尾永井の汐を十五駄(十五駄)
豪家の塩を十五駄(十五駄) 水が飲みたいというときは(いうときは)
弥々のおもとにつんばって(つんばって) 乙女の浦を飲み干した(飲み干した)
これも七つのイレコのうちよ ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤー ヤトヤー
☆私のイレコはこれでおしまい ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤー ヤトヤー
11-2-13 盆踊り唄「レソ」 国見町櫛海(竹田津) <77・77段物>
☆しばし間は文句とせろかコラサノサ(アードスコイドスコイ)
ヤレ嬉しやそりゃそこに出た(ソレーヤ ソレーヤ トヤーソレサイ)
☆そこに出たやとちょいとつかまえて しばし間は文句とせろな
11-2-14 盆踊り唄「レソ」 国見町伊美(伊美) <77・77段物>
☆国は大和の海津の村にゃコラサノサ(ドスコイドスコイ)
判兵衛さんとて有徳にゃ暮らす(ソレーヤ ソレーヤ トヤーソレサイ)
☆有徳暮らせば世に瀬がござる 春の頃にて妻持ちなさる
11-2-15 盆踊り唄「レソ」 国見町赤根(上伊美) <77段物>
☆やれさ音頭さんぬ 褒めたちゅなればコラサノサ(アードスコイドスコイ)
オーサソウジャナ 褒めたちゅなれば
(ソーレガヨイヤ ソーレガヨイヤ トヤーソレサイ)
☆一で声がようて二で節がよて 二で節がよて
11-2-16 盆踊り唄「レソ」 国見町小熊毛(熊毛) <77・77段物>
☆今のヨヤナで受け取りましたコラサノサ(ハードッコイドッコイ)
いけばそれよし いかねばままよ
(ソーラエー ソーラエーヤットヤンソレサイ)
★先の音頭さんななかなかお上手コラサノサ(ハードッコイドッコイ)
ソジャソジャ 長々ご苦労
(ソーラエー ソーラエーヤットヤンソレサイ)
11-2-17 盆踊り唄「レソ」 国見町岐部(熊毛) <77段物>
☆国は関東 下野の国コラサノサ(アードッコイドッコイ)
ヤーレソウジャナ 下野の国
(ソーレガエヤ ソーレガエヤ トヤーソレサイ)
●●● 祭文(その12・レソ) ●●●
宇佐周辺の節のうち、下句の頭3字を上句につけずに唄う節を集めた。
12-1-1 盆踊り唄「レソ」 山香町浦篠(山浦) <77・77段物>
☆よんべ山香の 踊りを見たらコラサノサ(アードシタドシタ)
おうこかたげて鎌腰差して(ソレーヤ レソーヤートヤンドッコイショ)
☆踊る片手じゃ稗餅ゅこぶる こぶる稗餅ゃいやりが運ぶ
12-2-1 盆踊り唄「レソ」 宇佐市横山(横山) <77・75一口>
☆レソー踊るなら ドッコイ しな良く踊れ コラサノサ
しなの良いのぬ嫁にとる(レソーヤ レソーヤ ヤットヤンソレサイ)
良いのぬ ドッコイ 良いのぬしなの コラサノサ
しなの良いのぬ嫁にとる(レソーヤ レソーヤ ヤットヤンソレサイ)
☆レソー踊りは三十まで踊れ 三十過ぐれば子が踊る
過ぐれば 過ぐれば三十 三十過ぐれば子が踊る
12-2-2 盆踊り唄「レソ」 宇佐市麻生(麻生) <77・75一口>
☆レソー踊るなら コラお寺の庭で(コラサーノサー)
踊るかたでに後生願う(レソーヤ レソーヤ ヤットヤンソレサー)
☆西へ西へとお月もお日も さぞやお東ゃ寂しかろ
12-2-3 盆踊り唄「レソ」 安心院町佐田(佐田) <77・75一口>
☆わしが出しましょ やぶから笹を(コラサノサー)
つけておくれよ ナント短冊を(アレソーヤ レソーヤ アトヤンソレサー)
12-3-1 盆踊り唄「祭文」 湯布院町塚原(北由布) <75・75一口>
☆向かいお山で鹿が鳴くトコホーイホイ(アーヨイトコヨーイヨイ)
アー寒さで鳴くか妻呼ぶか(ソレーヤ レソーヤット ヤンソーレサー)
「書生さん 好きで虚無僧はするのじゃないが(トサーイサイ)
親にゃ勘当され 試験にゃ落第し(ヨイショ) 仕方がないのでネ
尺八を くわえて吹き吹き門に立つ(サーノサー)
☆舞います舞います 舞いまする お空をひばりが舞い上がる
12-4-1 盆踊り唄「祭文」 玖珠町日出生(日出生) <77・75一口>
☆山は焼けても コリャ山鳥ゃ残るコリャサノサ(ヨイショヨイショ)
残るはずだよ ドッコイ子があるに
(ソーレガヨーヤ レソーヤ ヤットヤンソレサ)
☆草津よいとこ 一度はおいで お湯の中にも 花が咲く
●●● 祭文(その13) ●●●
臼杵周辺の節を集めた。鶴崎の節と双璧をなす歴史があるというが、伝承範囲は遠く及ばない。耶馬溪方面で「佐伯」の名で伝承されているものも同種のため、ここに加える。
13-1-1 盆踊り唄「祭文」 臼杵市西海添(臼杵) <77・75一口>
☆臼杵名物さえもん踊り(ヨイトサッサー)
見せてあげたや聞かせたや(ハーヤートセー ヤートセ)
☆広い日本のどこより先に 南蛮船の来たところ
☆春の丹生島 浮城跡は 今じゃ桜の花どころ
☆昔なつかし本丸跡の おぼろ夜桜 縁となる
☆花の宴に一差し舞えば 差す手引く手に花が散る
13-2-1 盆踊り唄「祭文」 臼杵市深田(下南津留) <77・77段物>
☆今度サ 踊りましょ祭文踊り(ヨイトサッサー)
どうでサ 踊りは祭文でなけりゃ(ソラー ヤートセー ヤートセ)
13-2-2 盆踊り唄「三勝」 津久見市長目(下浦) <77・77段物>
☆国は豊州 海部の郡(ヨイトサッサー)
佐伯ご領は堅田の宇山(ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセ)
13-2-3 盆踊り唄「三勝」 津久見市堅浦(下浦) <77・77段物>
☆国は豊州 海部の郡(アヨイトサッサー)
佐伯ご領は堅田の宇山(ソレーヤートセー ヤートセ)
☆小村なれども宇山は名所 名所なりゃこそお医者もござる
13-2-4 盆踊り唄「三勝」 津久見市徳浦(下浦) <77・77段物>
☆稀なものじゃと みな褒められる(アヨイトサッサー)
アー褒める言葉がつい仇となり(ソレーヤートセー ヤートセ)
☆同じ流れの川下村に 潮の満ち干を見る柏江の
13-2-5 盆踊り唄「祭文」 大分市屋山(小佐井) <77・75一口>
☆盆の十六日おばんかて行たら(ヤトセッセセ)
たたきごぼうに ふろうの煮しめ(ヤートセー ヤートセー)
13-2-6 盆踊り唄「祭文」 大分市吉野(吉野) <77・77段物>
☆わしはナ 田舎の百姓の生まれ(アヨイトサッサー)
音頭ナ とるよな資格はないが(アソレ ヤートセー ヤートセ)
☆何か 一節ゃ理と乗せましょか そこで 踊り子よろしく頼む
13-2-7 盆踊り唄「祭文」 大分市戸次(戸次) <77・75一口>
☆盆の十六日おばんかて行たら サノエーサー
なすび切りかけ ふろうの煮しめ(ソラ ヤートセー ソラヤトセー)
13-3-1 盆踊り唄「祭文」 臼杵市佐志生桑原(佐志生) <77・77段物>
☆貰うた 貰うたよ音頭を貰うた(アヨイトサッサー)
合えばそれよし 合わなきゃままよ(ソリャ イヤートセー イヤートセ)
☆もしも 万が一合うたるならば 枯木花じゃと囃しの願い
13-3-2 盆踊り唄「佐伯」 耶馬溪町島・一つ戸(下郷)、玖珠町杉山下り(古後) <77・75一口>
☆佐伯なば山 鶴崎ゃ木挽き(ドッコイサッサー)
日田の下駄ひき ナント軒の下(ソリャヤットセーノ オカゲデネ)
13-3-3 盆踊り唄「佐伯」 耶馬溪町奥の鶴(下郷) <77・75一口>
☆佐伯なば山 鶴崎ゃ木挽き(ドッコイサッサー)
日田のコリャ 下駄ひき ナント軒の下(ソリャヤットセーノ オカゲデネ)
13-3-4 盆踊り唄「佐伯」 山国町守実(三郷) <77・75一口>
☆佐伯なば山 鶴崎ゃ木挽き ドッコイサッサー
日田の下駄ひき ナント軒の下(オカゲデネー オヤヤットセー)
13-3-5 盆踊り唄「佐伯」 久住町青柳(久住) <77・75一口>
☆佐伯なば山 鶴崎ゃ木挽き(ドッコイサッサー)
日田の下駄ひき ナント軒の下(ソリャヤットセーノオカゲデネ)
●●● 祭文(その14) ●●●
大野地方東部の節を集めた。「その13」の下句頭3字を上句につける類のものである。
14-1-1 盆踊り唄「祭文」 野津町野津市(野津市) <77・77段物>
☆踊る皆様ハンカチ踊りょマー
どなたサ(ハーイヤコラサイサイ) 様方よろしく頼む
(アライヤートセイセイ ドンドンヤットセ)
☆昔はやりし三重節ゅやめて
ハー今のまた(ハーシッカリサイサイ) アラ流行りのハンカチ踊り
(アライヤートセイセイ ドンドンヤットセ)
☆ここでマ しばらくこの節しむる
アイソウジャしばしマ(ハーシッカリサイサイ) 間は祭文でしむる
(ソライヤートセイセイ イヤートセ)
★国は豊後でナ(コラサッサ) 大野の郡ヨ 川のナーサ(アードシタ)
ぼりなる泊の里よ(ソラーヤートセー ヤートセ)
14-1-2 盆踊り唄「祭文」 野津町田野(田野) <77・77段物>
☆どなたマー 様方 節ゅ変えましたヨ
踊るサ(アーエンヤコラサイサイ)
お方よお手振りなされ(アラーヤートセー ヤートセ)
☆お手が直れば足並み直せ お調子が 揃うたならば
☆次のヨヤショで理と乗せまする わしが 理を言うちゃ小癪であれど
14-1-3 盆踊り唄「祭文」 野津町西神野(川登) <77・77段物>
☆姉の宮城野妹の信夫 姉が(ドッコイドッコイ)
十三妹が七つ(ヤートセイセイ マタヤットセ)
☆二霜東も知らざるものを 頃は 六月下旬の頃に
☆親子三人田の草取りよ わずかな 田地は十二石高
☆姉が音頭で妹が囃す 小唄 銚子で田の草取りよ
☆取りてその手にまた草づくし 命 づくしかまた水の青
14-2-1 盆踊り唄「祭文」 犬飼町大寒(戸上) <77・77段物>
☆花のお江戸のそのかたわらにヨ さてもマ(アシッカリサイサイ)
珍し心中話(ソレイヤートセイセイ イヤートセイ)
14-2-2 盆踊り唄「祭文」 三重町内山(三重) <77・77段物>
☆天に打ちむきナ(ドッコイ) 地に打ちふして 娘マタ(イヤコラサイサイ)
きょうだい ただ泣くばかり(ソレエヤートセー ヨイトマカセー)
14-2-3 盆踊り唄「祭文」 三重町芦刈(三重) <77・77段物>
☆丸いまなこにノ(ドッコイ) 目に角立ててヨ 何とマタ(アーシッカリサイサイ)
不敵な百姓どのよ(ソレイヤートセーノ イヤートセー)
★武士の 通るに笠はちまきを とらぬマタ(アーシッカリサイサイ)
そのうえ無礼をなさる(ソレイヤートセーノ イヤートセー)
14-2-4 盆踊り唄「祭文」 三重町菅尾(菅尾) <77・77段物>
☆国はどこかとナ(アードッコイ) たずねてきけば 国はマタ(アーイヤコラサイサイ)
アラ豊州海部の郡(ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセ)
★佐伯ナーサー アラ領土や堅田が宇山 宇山マタ(アーイヤコラサイサイ)
なりゃこそ名所でござる(ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセ)
14-2-5 盆踊り唄「祭文」 三重町大白谷(白山) <77・77段物>
☆国はエーナー どこかと尋ねてきけばヨー 国はナ(イヤコラサイサイ)
豊州海部の郡(ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセ)
★佐伯領土はノ(ドッコイ) 堅田の谷ヨー 堅田ナ(イヤコラサイサイ)
谷でも宇山は名所(ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセ)
☆名所エーナー なりゃこそお医者もござれヨー お医者ナ(イヤコラサイサイ)
その名はげんりゅう様と(ソレ エヤヤットセーノ ヨイトマカセ)
14-2-6 盆踊り唄「祭文」 清川村臼尾(牧口) <77・77段物>
☆今度ナー 踊りは祭文やろなヨー 誰も(イヤトコサイサイ)
どなたも お手振りなおせ(ソレエンヤヤットセー エンヤヤットセー)
●●● 祭文(その15) ●●●
津久見以南の沿岸部で唄われる節を集めた。これのみを単独で唄うのではなく、「長音頭」の入れ節としてのみ唄う事例もあるが、それも「祭文」の箇所のみ抜き出してここに加えた。
15-1-1 盆踊り唄「祭文」 津久見市久保泊(四浦) <75・75和讃>
☆ヤレ 南無阿弥エー 陀仏や南無阿弥陀仏エー(ソリャーソリャ)
南無阿弥陀仏と回向する(イヤヨーイヤセー ヨーイヤセ)
☆ヤレ 一つエー 二つや三つ四つエー(ソリャーソリャ)
十より下の幼子が(イヤヨーイヤセー ヨーイヤセ)
☆南無阿弥 陀仏や南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏と回向する
☆賽の 河原に集まりて ただ父恋しや母恋し
☆南無阿弥 陀仏や南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏と回向する
15-2-1 盆踊り唄「祭文」 津久見市日見(日代) <75・75和讃>
☆アー帰命頂礼 アー弥陀如来(ソリャーヤレ)
アー大慈 エー大悲のご請願(ソリャエーイヤセーノ エーイヨナー)
☆久しく三途に 沈みしを 弥陀の お慈悲でこの里に
15-2-2 盆踊り唄「祭文」 上浦町浪太(東上浦) <75・75段物>
☆アーこんなエー アーことが あろうとエー(ソレーソレ)
アー正月二日の 初夢に(ヤーレ ヨーヤセー ヨーヤセー)
15-2-3 盆踊り唄「祭文」 上浦町浅海井(東上浦) <和讃>
☆アー一つやエー 二つ アー三つや四つ(アーヨイヤー)
アー十にもならぬ幼子が(ヤーレ ヨーヤセー ヨーヤセー)
☆賽の 河原に 集まりて ただ父恋し母恋し
15-3-1 盆踊り唄(入れ節) 鶴見町沖松浦(西中浦)
「ヤレー こんなことがあろうとえ
正月二日の初夢に(エーイエーイエーイヤナ)
15-3-2 盆踊り唄「野辺和讃」 蒲江町畑野浦(上入津) <和讃>
☆ソレ 一つや二つや三つや四つ
十にも足らぬ幼子が(エーイエーイ エーイヤナー)
15-3-3 盆踊り唄「流し音頭」 蒲江町楠本浦(上入津) <和讃>
☆一つや二つや三つや四つ(ヨイヨイ)
十より下の幼子が(ヨーイヨーイ ヨーイヤナ)
☆ひとたびシャバに生まれきて 綾や錦を着飾りて
15-3-4 盆踊り唄(入れ節) 蒲江町蒲江浦(蒲江)
「ヤレ 賽の河原にとどめたり 二つや三つや四つ五つ
「十より下の幼子が 朝の日の出に手に手をとりて
15-3-5 盆踊り唄(入れ節) 蒲江町河内(蒲江)
「ヤレ 小倉の町の叔母さんが 言わしゃんしたを忘れたか
15-3-6 盆踊り唄(入れ節) 蒲江町猪串浦(蒲江)
「ヤレ 滝からヨ(ヨイヨイ) 落ちる水とても(ヨイヨイ)
なりを静めて聴くよな唄よ(ヨーイヤ セーヨイヤセ)
●●● 祭文(その16) ●●●
木立および上入津のみで唄われる節で、1節3句になっている珍しい唄い方である。おそらく「その15」に中句を入れて、より複雑な節に工夫したものかと思われる。局地的に流行したのだろう。
16-1-1 盆踊り唄「祭文」 佐伯市木立(木立)、蒲江町屋形島(蒲江) <75・75・75段物>
☆サドー 東西ヨー 南北おだやかに(ヨイヨイ) しずもりヨー 給えば
尋常にヨー 所は都の大阪の(ヨーイヨーイ ヨーイヤナー)
☆京屋の娘におすみとて 年は三六十八で いま振袖の丸額
16-1-3 盆踊り唄「祭文」 蒲江町畑野浦・楠本浦(上入津) <75・75・75段物>
☆一つや二つや三つや四つ(ヨイヨイ) 十より下の幼子が
一度娑婆に生まれ来て(ヨーイヨーイ ヨーイヤナー)
●●● 祭文(その17) ●●●
堅田踊りの祭文を集めた。これのみ全くといってよいほど毛色が異なるが、一応各節末尾の「ソレエーソレエー」の囃子に祭文の名残が感じられる。座敷唄風に改調したものなのだろう。
17-1-1盆踊り唄「祭文」 佐伯市宇山・汐月・江頭(下堅田)、上城(上堅田) <小唄、二上り>
☆笛(アラドッコイセ) の音による(マダセー) 秋の鹿
妻(アラドッコイセ) ゆえ身をば焦がすなり
「ハーそこ言うちゃさえもんな たまりゃせぬ ソレエー ソレエー モットモ
☆小石 小川の 鵜の鳥見やれ 鮎 をくわえて瀬を登る
「そこ言うちゃさえもんな たまりゃせぬ
☆恋 しゅござるなら 訪ねて来てみよ 信太 の森に住むではないか
「そこ言うちゃさえもんな たまりゃせぬ
17-1-2 盆踊り唄「祭文」 佐伯市下城(上堅田) <77・75小唄、二上り>
☆笛(アラドッコイセ) の音による(マダセー) 秋の鹿
妻(アラドッコイセ) ゆえ身をば焦がすなり
「ハーそこ言うちゃたまらぬ そこ残せ ソレエー ソレエー モットモ
☆鮎は 瀬に住む 鳥ゃ木にとまる 人 は情けの下に住む
「そこ言うちゃたまらぬ そこ残せ
☆恋 しゅござらば 訪ねて来てみよ 信太 の森に森に住むではないかいな
「そこ言うちゃたまらぬ そこ残せ
●●● 祭文(その18・ヤンサテナ) ●●●
これは庄内周辺に伝わるもので「ヤンサテナ」「三調子」「切り返し」の呼称であり、判断に迷ったが、囃子以外は明らかに「祭文」の系統の節をもっておるので「祭文のグループ」の末尾にて紹介することにした。
18-1-1 盆踊り唄「ヤンサテナ」 湯布院町鮎川・津々良(南由布) <77・75一口>
☆向かいの山でししが鳴く(ヤレショイ)
寒さで鳴くのか 妻恋うか(アーヤンサテナ アーヤンサテナ)
☆武雄がボートにうつるとき 浪子は白いハンケチを
18-2-1 盆踊り唄「三調子」 庄内町阿蘇野(阿蘇野) <77・75一口>
☆かわい勝五郎 車に乗せて(サノヨイ)
引けよ初花 箱根山(ハーヤレトコヨイナー ヤッテイナー)
☆連れて行くなら一夜も早く 心変わりのせぬうちに
18-3-1 盆踊り唄「切り返し」 別府市内成(石城川) <77・77段物>
☆今宵踊りはお供養の踊り(サノヨイ)
足もだゆかろ 手もだゆかろが(ヨヤサノセー ヨーヤロセー)
☆しばし間は踊りておくれ 盆の踊りの由来をきけば